妊産婦さんと赤ちゃんが健やかに過ごしていただくための研究です

J-PEACH study(the Japan Pregnancy Eating and Activity Cohort Study )では、

妊娠・出産アウトカムに影響を及ぼすライフスタイルを調査しています。

主に、妊娠中~産後にかけての適切な体重増加、食事、睡眠、活動量のエビデンスを探求しています。

妊産婦さんのメンタルヘルスや心理社会的な要因による影響、赤ちゃんの健康に関する調査もしています。

J-PEACH News

《論文紹介part. 9》(2025年2月)

Association of Overnight Fasting Duration and Meal Frequency with Glucose and Lipid Metabolism During Pregnancy: A Cross-Sectional Studyが2025年2月にNutrientsにPublishされました!研究の概要を紹介いたします!

妊娠中の女性の糖や脂質の代謝は大きく変化し、お腹の赤ちゃんと母体の健康に大きく影響します。最近の研究では、何を食べるかだけでなく、「いつ食べるか」という時間栄養学的な視点も重要であることが分かってきました。そこで本研究では、妊婦の食事回数、夜間絶食時間が糖と脂質の代謝にどのように影響するかについて調査が行われました。

東京の大学病院を受診した、妊婦144名を対象に調査を実施しました。参加者には妊娠中期に食事に関する質問票に回答していただき、夜間の絶食時間(夜間最後に食事を摂った時間から翌朝最初に食事をするまでの時間)と1日の食事回数を調べました。また、血液検査で糖代謝の指標となるグリコアルブミン、脂質代謝の指標となるトリグリセリド、総コレステロール値なども測定しました。

調査の結果、参加者の夜間絶食時間は平均12.1時間、1日の食事回数は平均3.8回でした。重要な発見として、夜間の絶食時間が長い女性ほど、糖代謝の指標となるグリコアルブミンの数値が低いことが分かりました。これは統計学的にも有意な関連性が認められました。

この研究により、妊娠中は食事の内容や量だけでなく、夜間に適切な絶食時間を確保することが血糖値の管理に効果的である可能性が示されました。

妊娠中の健康管理において、食事のタイミングは新しい注目点です。夜間の適切な絶食時間を確保することが、妊娠中の血糖値管理に役立つ可能性があり、これは母体と胎児の健康にとって重要です。ただし、不適切な長時間の絶食は有害であること、朝食の摂取は母児の健康にとって重要であることに留意し、個人の状況に応じた夜間の絶食時間の確保が必要であると考えます。